QUADRAL ASCENT20LE 試聴記 その3
公開日:
:
最終更新日:2017/06/27
試聴記, CLASSIC, QUADRAL, ASCENT20LE
今回はLPで、
アンドレ・プレヴィン指揮ピッツバーグ交響楽団の、
エルガーやハーティが編曲したヘンデル曲集を聞いてみました。
1982年のデジタル録音です。
非常に瑞々しい音のするLPで、
ヘンデルは古楽器の演奏録音が主流になっても、
CDも買いましたが、プレヴィン盤のLPは手放せない1枚です。
思い出したら、
LPの機材を買い替えるたびに、
バランスを聞くための試聴用として愛聴していたのですが、
忘れていました。
...というか、
最近、LPに関する機材をそれほど買い替えていないというか…。
ASCENT20LEで試聴すると、
最初のエルガー編曲による「序曲」から、
スケールの大きな音楽が、
それこそ、お腹の中に沁み込んでくるようです。
何より分厚い弦楽器の質感が素晴らしく、
ホルンの奥深い響きもしっかりと聞くとができます。
プレヴィンとオーケストラの、
ただならぬやる気が聞こえてきます。
エルガーの「威風堂々」やウォルトンの「王冠」と同じように、
実演で聞いても効果満点の楽曲ですが、
CDやLPで聞いても興奮させられます。
ASCENT20LEで聞くと、
さらに、ハーティ編曲の「水上の音楽」「王宮の花火の音楽」も、
弦楽器の美しさが際立って聞こえます。
「水上の音楽」はオリジナルとは異なり、
第1曲目に、
有名なホルンの特徴的なタンギングを含む「アレグロ」から始まります。
このホルンの拡がり感(音場そのものはそれほど拡がりませんが^^;)と、
プレヴィンの節度を持った音楽づくりに好感が持てます。
「エア」や「アンダンテ」の厚みのあるゆったりと暖かな響きは、
古楽器ではなかなか聞けなくなってしまいましたが、
浸っていたいほどの美しさです。
この頃のオーケストラビルダーとしてのプレヴィンの実力は、
凄いものがあります。
「ホーンパイプ」での木管の溶け具合も非常に美しいです。
「王宮の花火の音楽」では、
序曲からゆったりとしてテンポで、
そのスケールの大きな楽曲に引き込まれます。
弦楽器による緩やかな音楽の素晴らしさは、
日常のあれこれを忘れさせてくれますね。
「アラ・シチリアーナ」の弦楽器のひそやかな響きは、
ASECNT20LEの響きが非常に美しく、
フロア型スピーカーのような奥深さはありませんが、
それでも陶然とした響きに打たれます。
大きなリスニングルームがない場合、
どうしても小型ブックシェルフスピーカーを
ニアフィールドで聞くことになりますが、
ASECNT20LEの再現力は素晴らしいものがあります。
最後の「メヌエット」も非常に美しく、
花火の壮麗さともの悲しさが同居するような音楽ですが、
LP全部を通して、
全体に感じるスケールの大きな「渋い」音楽が堪りません。
プレヴィンは、
こういう音楽が実によく似あいます。
さらに、ASCENT20LEでは、
木管楽器や金管楽器の音が、
録音場所のどのあたりで鳴っているのかが想像でき、
音場感が非常に良いですね。
周波数特性に優れ、
分離の良いスピーカーの特徴というだけではなく、
トゥイーターの指向性も非常に良いようです。
小型ながら低域の量感もなかなかのもので、
当時のPHILIPSの録音の良さを堪能できました。
GALAN 9の時には、
より分析的な聞き方ができましたが、
ASCENT20LEは、
音楽を楽しんで聞ける...という方向では、
非常に、その良さを知ることができます。
古楽器での録音が全盛のバロック音楽ですが、
エルガーやハーティ編曲による
フルオーケストラのヘンデルは飛び切りゴージャスで素敵ですよ。
【スペック】
ASCENT20LE
ASCENT 20LE (アセント20LE)
型式:2ウェイ
基本デザイン:バスレフ型入力:定格60W/最大90W周波数特性(Hz):40~46,000Hz
クロスオーバー周波数(Hz):2.700Hz
能率(dB/1W/1m):86dB
インピーダンス(Ω):4~8Ω
ユニット構成:Tweeter φ25mmAluドーム型トゥイーター
Woofer φ135mm Titanium-PP
サイズ:H30.9cm×W17.7cm×D27.0cm
重量(kg)1台:5.15kg
ターミナル:ゴールドコンタクト シングル・ターミナル
価格:ペア 138,000円(税別)
仕上げ:マットブラック
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