AURUM RODAN9試聴記5
RODAN9の前回の試聴では、アコースティックなソースでの試聴をしました。
ですので、今回は趣を変え、電子楽器を多く含むソースをと思います。
そこで選んだのが長年聴き馴染んだソース、ピンク・フロイドの「Dark Side of the Moon」と「The Wall」です。
RODAN9でどう聴こえたのかをレポートします。
①ピンク・フロイド「Dark Side of the Moon」(US盤SACD)
1973年発売のROCK史に残る金字塔的一枚。
オリジナルから数え600を超すバージョンを含めて、全世界で5000万枚以上のセールスを記録したアルバム。
先月には、アメリカでの皆既日食を受けて、1日で1000枚のアルバムセールスを記録したとの話。
今なおその魅力は色あせず、アルバムの完成度を裏付けるエピソードですね。
ジャケットデザインは、初期のアルバムからおなじみのデザインチーム、ピプノシスが手掛け、録音はアラン・パーソンズが参加。作詞は、全編に渡りロジャー・ウォーターズが担当し、「月の裏側の闇」ひいては「人間の奥底に潜んでいる闇」人間の内なる狂気をコンセプトにしています。
シングルカットされたシングルカット曲のMoneyにしてもキャッチーな曲調とは裏腹にその卑屈さのある歌詞は、POPさなど微塵もない内容ではあります。
曲の方も、心臓の鼓動のようなドラムで始まる1曲目から最後の曲まで全編にわたり、アルバムとしての一体感が強い構成となっています。
この有名すぎるアルバムは、聴きどころが満載で、世界中で十人十色の聴き方をされていることだと思います。
オーディオ的にも面白いアルバムですので取り上げてみました。
2曲目のBreatheでは、ギルモアの浮遊感のあるギターに絡んだイントロの重く粘りのあるベースが印象的です。
RODAN9の155mmのウーファー2発は思いのほか低い帯域を再生しているのが判ります。
4曲目のTime〜Breathe (Reprise)のつんざくような時計の鐘の音にかなりの高域成分が入っているのですが、倍音成分が細かく出て、耳障りが良くリアリティを持った表現に驚きました。
高域がだら下がりにならず周波数特性に癖のない、リボン型トゥイーターの性能の高さを感じました。また、ミッドレンジとのつながりも良好で鐘の音の基音をしっかり出して中抜け感が無いのが好ましいです。
低域については、奥行きのあるゆったりとしたドラムの音が、弾力を持ちながらふやけずに鳴っているのが特徴的でした。
5曲目のThe Great Gig In The Skyでは、クレア・トリーの魂を揺さぶられるスキャットが聴けました。その音像は、ギターの間に少し奥行を持たせたところに位置しています。
ソウルフルに歌い上げる彼女の声がだんだんと昂揚し、最後には死を迎える前の断末魔を見るように訴えかけます。喜び・哀しみ・恐怖あらゆる感情がスピーカーから表現されたかのようでした。
6曲目のMoneyは、ヴォーカルが中央に定位し、シンバルがスピーカーの外側に定位しているのが、RODAN9では良く判ります。
シンバルの音色は、アタックが大変リアルでそのの形が見えるほどです。ここでもRODAN9のトゥイーターの特徴が良く出ています。
②ピンク・フロイド「The Wall」(国内盤CD)
1979年発売。
本作は「Dark Side of the Moon」と同様にコンセプトアルバムとなっています。
アルバムのストーリーは、父親のいない子供が母親に溺愛されながら育ち、学校教育や社会に対する抑圧や疎外感を感じながら成長、やがてロック・スターとなり成功を収めるもプレッシャーに耐えられずドラッグ依存症に成り果てます。その過程において他人との間に「壁」を築き上げてしまうといった内容です。
私も発売時にLPを購入し、このアルバムがプログレッシブロックの入り口となった思い出深い一枚です。
手持ちのLPはCBSソニー盤ですが、今回試聴したCDのレーベルは2006年に発売されたEMIミュージック盤です。現在国内では彼らのアルバムは、ソニーから出ているようです。
DISK1の4曲目The Happiest Days of Our Lives では、RODAN9はヘリコプターが右から中央を抜け左にきれいに定位しています。位相管理がしっかりしているスピーカーだと感じました。
また、ドラムの音は大変に抜けが良く、音楽的にはその抜けの良さがスリリングな展開を盛り上げています。
DISK1の5曲目Another Brick In The Wall, Part IIでの子供のコーラスが奥に定位し、カッティングギターが外側に定位、ギターソロでは、中央に定位。ここでも、RODAN9は、ミキシングエンジニアの意図を正確に再生できるスピーカーだと感じました。
DISK2の1曲目 Hey Youでは、ヴォーカルを執るギルモアの滲んだ独特の声が少しも歪まず聴こえます。これもRODAN9のミッドレンジとトゥイーターのつながりの良さが寄与しているのではないでしょうか。
DISK2の6曲目Comfortably Numbのギルモアの浮遊感のあるギターがスピーカーの間一杯に広がり一点の曇りもなく聴こえました。ドラマティックなシンバルとドラムのリズムもあいまって、実に心地の良いサウンドで、他のスピーカーでは味わえない魅力が有ります。
DISK2の12曲目The Trialは、曲中でうじ虫閣下から壁を取り壊す旨の審判が下されます。オペラティックな展開でストーリーが進みます。最後の壁を崩すSEでは、RODAN9では崩れゆくブロックの欠片と盛大に舞う砂ぼこりが見えるかのようなリアルさで迫ってきました。
RODAN9は、きれいな音も醜い音も正確に表現し、聴き手にありのままの音楽を再現できる能力があると感じました。
今後、期待感が高まると同時に他のソースでも試聴をし、RODAN9の実力を試してみようと思います。
なお、RODAN 9(ブラック)は入荷しております。
全国のQUADRALを扱っていただいている、
オーディオ専門店でご注文可能です。
ぜひ専門店でご注文ください。
ただ、近くにオーディオ専門店がない、
あるいはネットショップなどでアカウントがない、
という方は、以下からご注文可能です。
RODAN 9
TUNTUN
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