QUADRAL AURUM SEDAN 9 試聴記その15
今回はギュンター・ヴァント指揮
NDR交響楽団(北ドイツ放送交響楽団)の、
セッション録音で、
ベートーヴェン/交響曲第3番「英雄」を
SEDAN 9で聞いてみました。
1985年の録音です。
ヴァントのRCA(最初はDHM、現在はSONYですが)への、
ケルン放送交響楽団と北ドイツ放送交響楽団の
セッション録音全集が入手できましたので、
その全集からのCDです。
30cm×30cmのLPサイズのボックスに、
4面に分けてCD28枚とDVD1枚が入っています。
ヴァントは晩年、
日本で神格化され過ぎたようなきらいがあり、
あれこれ聞いてはいるのですが、
敬して遠ざけていたようなところがあります。
ヴァントが若い頃の演奏録音もLP時代から知っていましたが、
現代音楽のスペシャリストというイメージがあり、
古典音楽はスケールの小さな、
まとめ上げた演奏で面白みに欠ける...
と、思っていました。
食わず嫌いでした。
それに、カール・ベームの時もそうでしたが、
晩年は、あまりに周りが持ち上げすぎているのではないか?
という印象もありました。
でも、いまは先入観やイメージに惑わされず、
音楽に対峙することができます。
ヴァントの晩年、
熱狂していた人たちは今でもヴァントを聞いているのでしょうか?
ヴァントのベートーヴェンは発売時から評判が高かったですが、
一聴、これは実は凄いベートーヴェンだったんだ!
と再認識しました。
非常に客観的というか、
後世に残すべきベートーヴェンの演奏録音では、
おそらく最右翼に来るべき演奏録音です。
そのスコアに書かれた一音一音がどうあるべきか、
どのように表情づけされるべきか、
これほど精緻に録音された「エロイカ」は珍しいです。
感動的な演奏かどうかではなく、
ヴァントを通して、
スコアの向こう側に聞こえるべき音楽がどのようなものであるのか、
これだけ雄弁に演奏してしまった録音はそれほど多くありません。
録音された音も優秀、
大昔のヴァントには感じられなかった、
精緻ながらも、
「エロイカ」が本来持つスケールの大きさが、
自然にしっかりと録音されています。
古楽器の演奏録音ではまず感じられない、
現代のグランドスタイルによる演奏録音の素晴らしい部分ですね。
「エロイカ」を聞く前に、
第1番と第6番「田園」も聞きましたが、
どちらも素晴らしい演奏録音で、
「田園」のかくあるべという自然なテンポは素晴らしかったです。
SEDAN 9とヴァントのRCA録音は非常に相性が良く、
曖昧さのない音楽が、
それこそ真正に再現されてゆきます。
ヴァントの演奏に対する姿勢というか、
「この音楽はかくあるべし」という確固とした信念が、
音として結実しているようです。
音の拡がり、
Fレンジ、Dレンジとも申し分なく、
音場も理想的に左右に拡がり、
ヴァントの「エロイカ」を堪能できました。
ヴァントボックスは28枚ありますので、
これからゆっくりのんびり、
聞き進んでゆくつもりです。
また、このボックスから取り上げるかもしれません。
なお、販売はブラックになります。
SEDAN 9
型式:2ウェイ バスレフ型 ブックシェルフスピーカー
定格出力:120W
ミュージックパワー:180W
再生周波数帯域:33Hz~65,000 Hz
クロスオーバー周波数:2800 Hz
能率 (dB/1W/1m):85 dB
インピーダンス:8 Ω
ツイーター:quadral quSENSE® リボン型
ウーハー:180 mm φ quadral ALTIMA®
レベルコントロール:トゥイーター±2dB
外形寸法 (高さx幅x奥行):39 x 23 x 35 cm
重量:14.5 kg(1本)
価格:570,000円(税別・ペア)
なお、SEDAN 9(ブラック)は入荷しております。
全国のQUADRALを扱っていただいている、
オーディオ専門店でご注文可能です。
ぜひ専門店でご注文ください。
ただ、近くにオーディオ専門店がない、
あるいはネットショップなどでアカウントがない、
という方は、以下からご注文可能です。
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