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帰ってきたASCENT20LE試聴記 その6

公開日: : CLASSIC, 試聴記, QUADRAL, ASCENT20LE

あちこち中古LPを漁って歩いていると、
思いがけず「へー!」と唸るLPに行き当たることがちょくちょくあります。
ただ、中古LP漁りは当たりばかりではなく、
はずれもあります。
当たりはずれが非常に大きいというか、
CDで既に聞いていて、
録音内容は良く知っているのに、
CDやダウンロード音源に比べて、
盤面の傷、盤質などハズレを引くことも少なくありません。
視認では無傷でも、
ジリジリノイズやピチパチノイズが盛大なことも多いです。

そうやって釣り上げていったLPの中に、
思いがけず録音が超優秀なら盤面もよく、
思わず「あたり~!」と言ってしまいたくなるLPがあります。


東芝EMIの廉価盤のこのシリーズは、
ジャケットのデザインがあまり好きではなく、
関心のある録音でも素通りしてきたのですが、
ジャン=フィリップ・ラモーの
クラブサン(チェンバロ、ハープシコード)によるLPを発見、
LPにしてもCDにしても、
なかなかラモーの演奏録音に出会えないことから、
思い切って購入してみました。
演奏者はベルギーのエイメ(エメ)・ヴァン・ド・ヴィールで、
チェンバロ演奏の復活に寄与したとあります。
1991年に亡くなっています。

このLPがまたASCENT20LEと相性が非常によく、
買ってよかった中古盤LPの筆頭ではあります。

ラモーはフランスの後期バロックからロココ時代の初期に生きた作曲家で、
理論家でもありました。
その作品は非常に多かったのですが、
J.S.バッハの息子たちと同様、
現代ではあまり聞かれているとは言えない作曲家です。
実は、ラモーの生年はJ.S.バッハよりも少し前なのですが、
かなり長生きしたため、
晩年の作曲様式はさらに新しいものが含まれてきます。
ギャラント様式とも言うそうです。
でもなかなか聞く機会がないのは、
もったいない...ですね。

ベートーヴェンが音楽の立ち位置に革命を起こす以前の音楽は、
貴族趣味だとか、
純粋音楽というより機会音楽が多かったことから、
日本の音楽評論家の一部に、
一段低い位置の作曲家として見られていたことが大きいのかもしれません。
でも、モーツァルトの先駆者でもあり、
その音楽が非常に優れていることから、
J.S.バッハとモーツァルトをつなぐ架け橋の作曲家としては、
外せない存在だと言えます。

ド・ヴィールの演奏するクラブサンの音は非常に豊かで、
あれ?チェンバロってこれだけ色彩感の豊かな音が出せるのか?
クラブサンって、チェンバロとは別の楽器なのか?
と思うほど、その音色は多彩です。
カートリッジは一般的なDENON DL-103、
合研LABのフォノイコライザーでColumbiaカーブで聞きましたが、
これをASECNT20LEで聞くと実に素晴らしい!
細かなニュアンスからその多彩な音色、
楽器を取り巻く空気感まで、
実にうまく再現してくれるのです。
他のスピーカーでも同LPを聞いてみましたが、
解像度や迫力は確かにあっても、
ASCENT20LEの清々しさは聞けませんでした。
透明な空気感まで再現されるというか、
とにかく絶妙な音です。

実は、小生チェンバロの演奏録音が苦手で、
その金属的な音に、
頭の中をかき回されているようなイメージが強かったのですが、
ド・ヴィールのクラブサンは音色が非常に多彩で、
全くそういう危惧がありませんでした。
録音の超優秀さもそのことに貢献しているようです。
ところでこの録音、
超優秀録音として知られているのでしょうか?

kna_baka_syuzo

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