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TGTS01 試聴記 その8

公開日: : 最終更新日:2020/08/26 CLASSIC, 試聴記, SOUND MAGIC


TGTS01の下に、
セーム皮のスリップシートを敷いていましたが、
今度は47研究所の豚皮シートを敷いてみました。
厚さは1mmです。
結果は極めて良好、より自然な音になりました。


今回はクラシックに戻って、
まず東芝から出ていた赤盤。
オットー・クレンペラー指揮
フィルハーモニア管弦楽団
シューマン:交響曲第1番「春」 交響曲第4番
東芝赤盤は1960年頃からあったそうで、
小生が東芝のレコードを買い始めた頃は、
たいてい半透明の赤盤でした。
東芝のLPラインナップは聞きたいLPがいっぱいありました。
ビートルズも赤盤だったな...。
赤盤は中古盤ファンには評判が高いですが、
小生とはなぜか相性が悪く、
「音が悪い」LPという思い出しかありません。
今でも、中古盤を漁る時は、
できるだけ赤盤を避けています。
でも、検盤せずに買うこともあり、
たまに手持ちのLPに赤盤が混じることがあります。
この、クレンペラーによるシューマン:交響曲第1番「春」と第4番の組み合わせも、
そのようにして入手してしまった赤盤の1枚です。
最初から印象が悪く、
「やっちまったかなぁ...」と思っていました。
何だか音楽をLPに無理やり押し込んだようで、
「狭い中で音が暴れる音楽缶詰」というような印象でした。
ところが今回、何気なくこのLPを引っ張り出し、
交響曲第1番「春」を聞いてみたところ、
その印象が大きく変わりました。
恐るべし、TGTS01の威力です。
Columbiaカーブで聞いてみましたが、
最初から最後までしっかりと音のリニアリティが保たれ、
音の暴れもなく、
まるで、ぎゅうぎゅう詰めの缶詰状態から、
お皿に盛られた空気感のある美味しい料理になったみたいです。
イコライジングカーブを変えてみたということも大きいですが、
TGTS01の威力の方が大きいのではないか?
と、小生は睨んでいます。
他にも聞いてみよう、東芝の赤盤(^^)。


次に、再生が難しいと言われているオルガン。
カール・リヒター(org)
バッハ・オルガン・リサイタル 2
B面に大好きなトリオ・ソナタ第5番と、
シューブラー・コラールより「目覚めよと呼ぶ声が聞こえ」
が入っています。
オルガンはリヒターを聞くまで、
長い間ヘルムート・ヴァルヒャを聞いて育ちました。
18歳の頃、友人に「オルゲルビュヒライン(オルガン小曲集)」
の魅力を教えてもらい、そこから入ってゆきました。
有名な「トッカータとフーガ ニ短調」は知っていましたが、
オルガン曲としては全く異なる「オルガン小曲集」の魅力にはまり、
続いて6曲あるトリオ・ソナタも大好きになりました。
トリオ・ソナタはヴァルヒャの演奏が今でも好きですが、
リヒターも素晴らしい演奏録音です。
ところで、
「目覚めよと呼ぶ声が聞こえ」でリヒターの演奏録音に、
意外ともいえるショックを受けました。
ヴァルヒャ以外のオルガニストを聞いてみても、
リヒター盤はもの凄くテンポが遅く、
通常は歓びに繋がってゆく音楽のはずが、
イエスの更なる運命を暗示するような、
暗くて悲劇的な瞑想をはらんだような音楽になっているのです。
リヒター盤を聞いてしまってから、
他のオルガニストによる演奏では満足できなくなってしまった、
罪作りな演奏録音ではあります。
オルガンの録音はLPによる再生が難しく、
最初から最後まで同じクオリティを持って聞くことはなかなかできません。
オルガン・コラールやトリオ・ソナタのような、
静かな音楽が多い場合は別ですが、
例えば同じバッハの「トッカータとフーガ ニ短調」などのような、
オルガンがフルに鳴っているような楽曲では大変です。
今回のLPはA面にフルでオルガンが鳴っている音楽が含まれ、
B面に比較的静かな音楽が収録されています。
TGTS01は両面とも非常にうまく再生の補助をしてくれます。
音の歪みや暴れがなくオルガンのLPを最後まで聞けることは、
ファンにとって福音です。


今回最後は室内楽。
ザビーネ・マイヤー(cl)
フィルハーニア・クヮルテット・ベルリン
モーツァルト:クラリネット五重奏曲
DENON、PCM録音によるLPです。
LP時代、PCM録音は刺激的でした。
普通、テープや金属原盤からのLPは、
テープノイズがあったり楽曲が始まる前にゴーストが被っていたりしますが、
PCM録音は無音の中から音が立ち上がります。
最初に聞いたのは、
フィルハーモニア・クヮルテット・ベルリンの、
モーツァルト:ディヴェルティメント17番だったでしょうか。
その時の瑞々しい音の記憶はまだ耳に残っています。
16bitの録音は今では非力に感じますが、
デジタル録音をレコード化した当初の威力は素晴らしいものがありました。
ザビーネ・マイヤーは、
ベルリン・フィルで奏者に採用されるかどうかで、
カラヤンとベルリン・フィルの確執の元になりました。
結局、ザビーネ・マイヤーはベルリン・フィルに入団しませんでしたが、
ソロ・クラリネット奏者として活躍を始めます。
そのデビュー・アルバムが、
このモーツァルト:クラリネット五重奏曲でした。
モーツァルト:クラリネット五重奏曲というと、
WESTMINSTERのレオポルト・ウラッハの録音が定番で、
その他、プリンツやライスターなどの演奏録音が一般的でした。
そこに聞いたザビーネ・マイヤー盤はもの凄く瑞々しく新鮮でした。
ザビーネ・マイヤー盤も古くなりましたが、
いまだに小生はこの演奏録音の新鮮さが好きです。
TGTS01で聞くと、
今までよりもザビーネ・マイヤーのクラリネットが、
ガラスで硬く聞こえるのかと思ったら、
逆に柔らかく、
フィルハーニア・クヮルテット・ベルリンとのアンサンブルが、
非常に美しく溶け合って聞こえます。
ザビーネ・マイヤーの当時は少し鋭角的な印象がありましたが、
今回、楽曲を聞いていてとろけそうなほどです。

何でもやってみるもんだと思います。

どういうシステムで聞いているかはTGTS01 試聴記 その1に。
商品の紹介はこちら

kna_baka@syuzo

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