ARGENTUM520 試聴記その1
ARGENTUM520は入庫数が少ないため、
NWJ-STOREを中心にした販売です。
ARGENTUM520の試聴です。
少し前に、あらいぐま堂のブログで取り上げ始めたのですが、
次の試聴先が詰まっており、
中途半端な試聴で返却したのでした。
今度は少しじっくりと聞けます(^^)。
帰ってきたARGENTUMというところですが、
個体は前に試聴したものとは違うようです。
ARGENTUM520は、
QUADRALのスピーカーの中ではカジュアルなスピーカー、
という位置づけで、価格的にもそれほど高くありません。
いわゆるエントリークラス、普及価格帯と呼ばれるスピーカーです。
確かに、新製品のSIGNUMシリーズのSIGNUM20に比べて、
スペックなどは少し控えめですが、
本当にそうか?
ということで試聴を始めました。
すると...
これは確かにカジュアルなスピーカーなのですが、
押し出しの良い音で迫力があり、
ブックシェルフとして低域から高域へのつながりが良く、
大変バランスの良いスピーカーであることが分かりました。
いつもだったら、
その高域特性に優れたQUADRALのブックシェルフは、
高域がきれいに入っている音源から試聴するのですが、
今回はピアノから視聴を始めました。
今をときめくショパン国際コンクール第4位の、
小林愛実さんのショパン:24の前奏曲です。
高域の解像度では、
SIGNUM20の方が優れていますが、
ARGENTUM520では、高域はもちろん、中域から低域までのつながりが良く、
小林さんのピアノの音が非常に懐深く聞こえてきます。
少しボリュームを上げて聞くと、
ニアフィールドながら見事に音像が浮かび上がってきます。
今まで、他のメーカーの同価格帯のブックシェルフでは、
こういう懐の深いピアノの音はなかなか聞けませんので、
これは儲けものです。
小林さんのショパンにかける想いのような音が、
小さなスピーカーの筐体から、
かなりはっきりと聞き取ることができます。
次は管弦楽ということで、
セルジュ・チェリビダッケの
ムソルグスキー=ラヴェル編曲:「展覧会の絵」と、ラヴェル:「ボレロ」。
チェリビダッケの演奏録音では、
ラヴェルはピカイチです。
今まで裏切られたことはありません。
古い録音ではアンドレ・クリュイタンスの演奏録音が素晴らしいですが、
チェリビダッケはより冷徹にラヴェルの楽曲を料理してゆきます。
その哲学的ともいえる佇まいは、
ラヴェルの楽曲の本質をついているのではないか...と思える素晴らしさです。
ムソルグスキー:「展覧会の絵」の編曲でも、
ラヴェルのオーケストレーションが冴えています。
チェリビダッケの指揮は、
そのオーケストレーション再現するということでは徹底しています。
ピアニシモからフォルテシモまでのダイナミックレンジも凄いですね。
「展覧会の絵」「ボレロ」は通俗名曲的な紹介をされてきましたが、
チェリビダッケの演奏録音で聞くと、
民俗楽派の楽曲ながら、
近代から現代に移り変わる時代の響きが見事に再現されています。
「え?これ、カジュアルなブックシェルフだろ?」
という思い込みを見事に裏切り、
フロア型トールボーイとまではいきませんが、
そのスケール感までもうまく再現してくれます。
ARGENTUM520、いいですね。
価格的にも手頃ですので、
設置場所に限りがある部屋でのスピーカーとして、
また、セカンドシシテムのスピーカーとして、
お薦めするのがとっても楽です。
高解像度で聞かれたい方には少し高価なSIGNUM20を、
つながりの良い音で様々なジャンルの音楽を聴きたいいう方には
ARGENTUM520を、
というような棲み分けができそうです。
【スペック】
型式:2ウェイ
基本デザイン:バスレフ型入力:定格60W/最大90W
周波数特性(Hz):45~35,000Hz
クロスオーバー周波数(Hz):3.000Hz
能率(dB/1W/1m):87dB
インピーダンス(Ω):4Ω
ユニット構成:Tweeter φ25mm シルクドーム型トゥイーター
Woofer φ155mm Titanium-PP
サイズ (高さx 幅 x 奥行):H31.0cm×W16.5cm×D25.0cm
重量:5.06kg(1本)
価格 / ペア:66,000円(60,000円 + 消費税)
こちらからお買い求めいただけます。
ブラック
https://nwj-store.jp/item/quadral-argentum-520-black.html
ホワイト
https://nwj-store.jp/item/quadral-argentum-520-white.html
また、さらに数は少ないですが、
トールボーイのARGENTUM570もあります。
https://nwj-store.jp/item/quadral-argentum-570-black.html
関連記事
-
QUADRAL ASCENT20LE 試聴記 その3
今回はLPで、 アンドレ・プレヴィン指揮ピッツバーグ交響楽団の、 エルガーやハーティが編
-
QUADRAL AURUM SEDAN 9 試聴記その7
SEDAN 9は古楽器の演奏録音にもいいのでは? ということで、ロンドン・バロックの
-
SONIC IMPACT TGTS01 復活試聴記その1
では、いよいよTGTS01復活試聴記の開始です。前回書きました通り、DENON DL-103
-
QUADRALチーフエンジニア来日
先日、ドイツよりQUADRALのチーフエンジニアSascha Reckertがプロモーションの為、来
-
QUADRAL AURUM SEDAN 9 試聴記その11
今回、またまたアンプを変えました。 今度は日本の小さなメーカーMUSICAの RAICH
-
2017年5月7日、ポタフェスに出品しました
大阪で「ポタフェス」が開催、 弊社もORB様のブースでQUADRAL RODAN 9を展示、た
-
QUADRAL ASCENT20LE 試聴記 その7
ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第2番もそうでしたが、 チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲も、
-
帰ってきたASCENT20LE試聴記 その3
2013年に85歳で亡くなったコリン・デイヴィスは、 一時期、飛ぶ鳥を落とすような勢いがあ
-
QUADRAL GALAN 9 試聴記 その11
フランスには、 器楽曲や室内楽に優れた録音がたくさんあります。 今回のアルバムは、 フ
-
QUADRAL ASCENT20LE 試聴記 その1
QUADRAL AURUM GALAN 9から、 ASCENT20LEに乗り換えての試聴開
- PREV
- QUADRAL SIGNUM20 試聴記その3
- NEXT
- ARGENTUM520 試聴記その2