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帰ってきたASCENT20LE試聴記 その3

公開日: : CLASSIC, 試聴記, QUADRAL, ASCENT20LE

2013年に85歳で亡くなったコリン・デイヴィスは、
一時期、飛ぶ鳥を落とすような勢いがありました。
1970年代から1980年代にかけてでしょうか。
リリースするレコードはどれも素晴らしく、
PHILIPSの録音も優秀であったことから、
当時、レコード雑誌のどれを見ても高評価でした。

ストラヴィンスキーも素晴らしかったですが、
小生はモーツァルトとハイドンから、
デイヴィスの演奏録音に注目し始めました。
特に、アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団との、
ハイドン/ロンドン・セットの最初の交響曲、
第93番が素晴らしく、
同曲は表題がないため地味なイメージがありますが、
非常に聞き応えのある交響曲で、
デイヴィスの演奏は活き活きとした表情が魅力的です。
第4楽章終結部まで、
間然とすることなく聞くことができます。
デイヴィスは12曲あるロンドン・セットを完成、
その前の交響曲の録音もあり、
どれも優れた成果ですが、
第93番を初めて聞いた時の驚きを、
いまさらながら引きずっています。

CDは手元にありますが、
LPは既に手放してしまいましたので、
国内中古盤LP6枚組ロンドン・セットを再入手、
まず、やはり第93番を聞いて、
初めて聞いた時の感動が蘇りました。
感激と言ってもいいですね。
ご機嫌なサウンドを聞くことができます。
ASCENT20LEで聞いても、
JBL4312で聞いても、
CDとは少し違う音です。
小生は、
「LPの方が絶対いい音だと思っている派」ではありませんが、
デイヴィスのロンドン・セットに関する限り、
LPの方が圧倒的にいい音がします。
まさしく、今、そこで音楽が生まれている...
と言っていいほど、
録音された音、演奏とも活き活きとして素晴らしいです。
これはマスタリングのせいでしょうか?

ハイドンの交響曲は、
演奏録音では古楽奏法が主になっていまい、
コンサートではまだ古いグランドスタイルが生きていますが、
新譜ではなかなか聞けなくなってしまいました。
デイヴィスの演奏録音は、
そのグランドスタイルで演奏され録音された、
ハイドンの交響曲では最も聞かれるべき演奏録音かも知れません。
今の小生には「LPの音で」という注釈が必要になりますが。

コリン・デイヴィスは、
バイエルン放送交響楽団の音楽監督に就任したころから、
少し地味な存在になってしまいました。
日本での公演は空席が目立った...という情報があり、
デイヴィス・ファンとしては残念な思いをしたことがあります。
それに、
デイヴィスには日本で人気の高い、
ブルックナーやマーラーの交響曲の録音が少なく、
その点でも損をしていたのかもしれません。
「全集」と名の付くセットもそれほど多くはありませんし。
でも、
その残された様々な演奏録音を聞くと、
「いい指揮者だったんだなぁ...」と、
改めて思います。

今、ハイドンの交響曲がASCENT20LEでごきげんな音で鳴っています。
ネアカな音楽が多いハイドンの交響曲は、
ロマン派や後期ロマン派のような陰影はありませんので、
日本では爆発的な人気には結びつかないようなところがありますが、
デイヴィス盤をごきげんな音で聞くと、
なんだか力が湧いてくるようです。
これを聞けば、
きっと、ファンが増えるのではないか...
などと思ってしまいます。

ASCENT20LEは、
もっと大規模な編成のオーケストラ録音の再生には、
充分ながらも、
スケール感では少し力不足のところがありますが、
少し規模の小さなハイドンの交響曲などではその力を存分に発揮、
低域から高域まで解像度が高く、
酔うような体験をすることができます。
いいスピーカーです。

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