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AURUM RODAN9試聴記4

公開日: : CLASSIC, 試聴記, QUADRAL, RODAN9

AURUM RODAN9でヴァイオリンのディスクを聴いてみました。
今回は、3つのフォーマットのディスクと3種類のヴァイオリンの音を試聴。
フォーマットは、SACD、アナログLP、DVD-AUDIOの3種類。
ヴァイオリンは、ストラディヴァリウス、グァルネリ、カミリア・カミリーの3種。
年代も1955年のステレオ初期から1981年のデジタル録音、2002年のハイレゾ録音から選択しています。

 

①ヤッシャ・ハイフェッツ「ブラームス&チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲」(SACD)
使用楽器:ストラディヴァリウス
(1955年録音)

 

ハイフェッツを聴くと、彼独特の歌いまわしに引き込まれてしまいます。
速いパッセージ、力強いビブラート、時に語り掛けるような演奏は、あまりに強烈すぎハイフェッツという音楽を聴いているかの如くに思います。
メロディアスなブラームスの協奏曲も甘ったるさは皆無で辛口ではあるが、なぜかロマンティックなのです。
ストラディヴァリウスの力強い音が、ハイフェッツの奏法とあっているのだろうと思います。ハイフェッツ愛用の"ドルフィン"は、諏訪内晶子が現在日本音楽財団から長期貸与されているとの話は有名ですよね。

RODAN9は、その力強いタッチと第2楽章で聴かれる流麗なタッチの差を正確に鳴らし分けています。
厚みのあるオケとヴァイオリンのバランスも良く、帯域バランスも偏りが無いのを確認できました。

 

②チョン・キョンファ「チャイコフスキー/メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲」(アナログLP)
使用楽器:グァルネリ
(1981年録音)

彼女は、グァルネリを好んで使用しています。グァルネリは、ストラディヴァリウスに対して、太い音と低域に特徴があるといわれています。しかし私は、彼女の演奏の高音の音色に魅力を感じてしまいます。
このことがずっと引っかかっていたのですが、2年前に一つ納得した出来事が有りました。大阪での彼女の演奏会の折に、一緒に写真を撮らせていただく機会を得た時のことです。目の前の彼女は、ステージで見るよりずいぶん小柄な佇まいでした。
そして、サインを所望した時に見たペンを握る彼女の手が、非常に柔らかで小さかったことが印象的でした。そこでふと思ったのですが、おそらくこの彼女の小さな手が指板にピンポイントで当たり、ピッチのずれやブレの少ない音色を出せるのではないかと。彼女の高音の音色の魅力には、その彼女の小さな手が大いに関係していると一人納得した出来事でした。

RODAN9も彼女のヴァイオリンの倍音が美しく、しかも柔らかさと滑らかさをもって聴かせてくれました。以外にもヒステリックさや金っぽい音が出てこず、ミッドレンジとトゥーターのつながりの良さ、トゥーターの性能の高さを感じました。このスピーカー、見た目金属的なリボン型からは想像できない音色を持っています。

 

③奥村愛「愛のあいさつ」(DVD-AUDIO,96kHz/24bit)
使用楽器:カミリア・カミリー
(2002年録音)

エルガー、サラサーテ、ガーシュイン、ピアソラ等が収められた小品集。
このディスク、彼女の可憐な姿にほぼジャケ買いに近い買い方でしたが、大変録音が良く、空気感や高音域のチェックによく使用しています。

カミリア・カミリーという楽器については不勉強ですが、RODAN9では、ピアソラの美しい旋律が聴けました。DVD-AUDIOのフォーマットはスッキリとしたクールなニュアンスが特徴的ですが、彼女の凛とした演奏とともに、ここでもなめらかで、温かい音色が出たのが驚きでした。
ヴァイオリンのハイポジションの音色に注視しても聴いてみましたが、録音の違いはともかくキョンファのグァルネリとの違いを明確に聴かせてくれました。豊かな胴鳴りを伴ったグァルネリと弦の響きが美しいカミリア・カミリーの音色の対比が聴き分けられます。

TUNTUN

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