QUADRAL GALAN 9 試聴記 その2
エルネスト・アンセルメとスイス・ロマンド管弦楽団は、
DECCAの黄金コンビでした。
DECCA自体、
スイスのモーリス・ローゼンガルテンが幹部でしたので、
アンセルメとDECCAは非常に結びつきが強かったといえます。
アンセルメとスイス・ロマンド管弦楽団のレコード録音は、
ホームグランドであるジュネーヴのヴィクトリアホールで行われました。
ヴィクトリアホールは、
機材の置き場所や、
ミキシングルームの適当な場所がないなど、
非常に使いにくいホールであったそうですが、
レコーディングには大変適していた、
と、DECCAの看板エンジニア兼プロデューサー
ジョン・カルショーはその回想録に書いています。
アンセルメとスイス・ロマンド管弦楽団の録音は大変音が良く、
DECCAマジックとも言われました。
アンセルメとスイス・ロマンド管弦楽団が1968年に来日した時、
「録音に騙された」という音楽ファンが少なからずいたそうです。
アンセルメがレコード録音に残した遺産は夥しく、
その全貌はなかなか掴めないほどですが、
小生は子供のころからアンセルメのレコードに親しんできました。
今でも、フランス音楽やロシア音楽(ストラヴィンスキーが中心ですが)に、
果たしてアンセルメをしのぐ業績を残した人がいるだろうか?
と、思えるほどです。
試聴用GALAN 9が届いて、
アンセルメの演奏録音でまず聞いてみたのが、
プロコフィエフのヴァイオリン協奏曲です。
ヴァイオリンはルッジェーロ・リッチで、
録音は1958年です。
ルッジェーロ・リッチはイタリア人の名前ですが、
アメリカ生まれ、アメリカ育ちのヴァイオリニストなのですね(^^;。
ただ、ドイツに留学、クーレンカンプの弟子であったそうですので、
ヨーロッパ流の演奏技術も身につけていたようです。
この、ヴァイオリン協奏曲第1番と第2番の録音は、
楽曲、演奏、録音の三拍子が揃った、
大変素晴らしい演奏録音です。
2017年の今、
1958年の古い録音が、
さっき録音したばかりのような生々しさで迫ってきます。
GALAN 9は解像度と周波数特性に非常に優れたスピーカーで、
DECCAの優秀録音を余すところなく聞くことができます。
これだけよい音で聞こえると、
録音技術は本当に進歩したのか?
などと不遜なことが頭に浮かぶほどです。
LP時代は、
1枚ずつ買ったアンセルメのコレクションがあったのですが、
既に手放してしまいましまた。
CDではそれほど多くを買い直していず、
あれこれ、こぼれてしまっているアンセルメの録音が聞きたくなり、
大部なアンセルメ・ボックス3巻を買ってしまいました。
GALAN 9は罪作りなスピーカー、
アンセルメのプロコフィエフも罪作りなCDです(^^;。
【GALAN 9のスペック】
形式:2ウェイ バスレフ
出力:80/140 W
周波数特性:36…65.000 Hz
クロスオーバー周波数:2900 Hz
能率:85 dB
インピーダンス:4Ω
トゥイーター:quadral quSENSE アルミニウム リボン
ウーファー:155mm quadral ALTIMA
寸法(w x h x d):33 x 21 x 29 cm
重量:10 kg/1台
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