QUADRAL AURUM SEDAN 9 試聴記その4
今回は合唱曲を聞いてみました。
フォーレとデュリュフレのレクイエムです。
ミシェル・コルボ指揮ベルン交響楽団の、
最初に録音したフォーレ/レクイエムは1972年の録音です。
LPのジャケットは画像のCDと同じデザインで、
ヴィジュアルはミケランジェロ「ロンダニーニのピエタ」、
青春時代のジャケ買いでした。
長くその国内盤LPは愛聴盤で、
後にCDが出た時に買い直しました。
当時のCDの定価は「3800円」でした(^^)。
昔はCDの値段が高かったですね。
ただ、RVCから出たERATO盤は最初評判があまりよくなく、
「LPの方がよかった」という人があったことを覚えています。
その後、ERATOはWARNERに販売を移して再発され、
「音がはっきりした」と評判は良かったようなのですが、
いまだに両方とも家の棚にありますが、
小生はどういうわけかRVC盤の方が好きで、
今でも最初に買ったCDを愛聴しています(^^)。
実際に聞くとなると価格はあまり関係ありませんが、
このRVC盤の方がより自然に感じます。
SACDもリリースされたそうですが、残念ながら未聴です。
SEDAN 9で試聴、
少年合唱団の響きが清々しく、
オーケストラや男声合唱と絡み合う美しさは、
45年たった今でも健在です。
少し重心を低めにとった録音でピラミッドバランスに近く、
オルガンの響きも魅力的です。
フォーレ/レクイエムは、
もっと解像度の高い明瞭な音の録音がいくつも存在するのですが、
なぜか、
この少し音が溶け込みすぎてモコモコするコルボの最初の録音が、
楽曲に合っているのか感動を誘います。
PIONEER PD-T06で聞くと、
高域の抜けが素晴らしく、
全体は少しモコモコ気味ながらも、
抜けが悪いというイメージはありません。
もちろん楽曲にもよりますが、
コルボのフォーレ/レクイエムではこの雰囲気は大切です。
実はかなり以前にフォーレ/レクイエムは、
出るCDを片っ端から買ってコレクションしていたのですが、
ある時何を思ったのか、
ジャン・フルネの数枚のCDやコルボ、
CHARLINレーベルのマルタンの演奏録音、
チェリビダッケのロンドン交響楽団とのライヴボックスを除いて、
すべて処分してしまったのでした。
名盤の誉れ高いクリュイタンス盤は、
最近購入したボックスに入っていますが。
今にして思えば
(自分がこんなこと=試聴記をやるとは思っていなかったので)、
痛恨の極みですね。
フォーレ/レクイエムを処分してしまった元凶ともいえるのが、
その後輩作曲家、モーリス・デュリュフレのレクイエムです。
フォーレ/レクイエムへのオマージュといわれる非常に美しい楽曲です。
これも作曲者本人が指揮した録音をはじめ、
あれこれ聞いていたのですが、
ある時イギリスのHYPERIONからリリースされた、
1994年録音のジェイムズ・オドンネル指揮
ウェストミンスター大聖堂合唱団のCDを聞き、
「これだけあれば充分!」と、
何を思ったのか、
オドンネル盤以外のデュリュフレだけではなく、
魔が差したように、
その影響を受けた、
先輩のフォーレまであれこれ処分してしまったのですから、
罪深いCDです(^^;。
この録音もまた、
少年合唱の清浄さが素晴らしい効果を生み出していて、
デュリュフレ指揮やコルボ盤の録音のようなオーケストラ伴奏ではなく、
オルガン伴奏による演奏録音がさらに質朴なイメージを高めています。
オーケストラ伴奏による演奏は少し祝典的とも言えますが、
オルガンによる伴奏のイメージは異なります。
音楽そのものは決して質朴ではないのでが...。
フォーレ/レクイエムでは、
マイナーレーベルから出ていたオルガン伴奏版も聞いたのですが、
こちらは今のところ、
オーケストラ版の方がよかったような…。
HYPERIONのデュリュフレ/レクイエムは、
元々録音レベルはそれほど高くありません。
さらに、教会での録音のため残響音が長く、
分離はそこそこですが、
その残響音に乗って、
聞き手も一緒に天井に舞い上がりそうになる録音です。
オルガンの低域もこれ見よがしではありませんが、
しっかりと入っています。
第3曲目「ドミネ・イエス・キリスト」の美しい響きは、
吸い込まれそうになるほどです。
少年合唱に続くバリトン独唱の素晴らしいこと!
SEDAN 9で聞いても、その儚げな美しさは随一です。
第5曲「ピエ・イエス」では、
この録音ではチェロが入り、
フォーレ/レクイエムの「ピエ・イエス」も美しいですが、
デュリュフレ/レクイエムの「ピエ・イエス」の夢を見るような美しさは、
現代のヴァレンティン・シルヴェストロフの音楽に通じるようでもあります。
このレクイエムの録音は、
決してオーディオ的とは言いにくい部分もありますが、
SEDAN 9で聞いていると、
限りなく豊かで優しい気分になってしまいました。
オーディオ的というと、
フィルアップされている、
同じデュリュフレの
「グレゴリオ聖歌の主題による3つのモテット」
「我らの父」
の無伴奏合唱の美しさはよりオーディオ的で堪能できます。
分離、解像度はレクイエムよりかなり良いです。
さらに、
最後に収録されているミサ曲「クム・ユビロ」では、
オルガン伴奏が復活しますが、
男声合唱だけで少年合唱がないためか、
録音レベルが高く、
男声合唱の美しさが際立ちます。
「クム・ユビロ」の2曲目「グローリア」で、
オーディオ的な音が炸裂するというか...。
SEDAN 9は周波数特性、解像度とも半端な性能ではありませんので、
「クム・ユビロ」では少年合唱に遠慮しなくてもよかったからか、
あるいはそういう楽曲だからか、
合唱、オルガンとも凄い音が聞けました。
なお、販売はブラックになります。
SEDAN 9
型式:2ウェイ バスレフ型 ブックシェルフスピーカー
定格出力:120W
ミュージックパワー:180W
再生周波数帯域:33Hz~65,000 Hz
クロスオーバー周波数:2800 Hz
能率 (dB/1W/1m):85 dB
インピーダンス:8 Ω
ツイーター:quadral quSENSE® リボン型
ウーハー:180 mm φ quadral ALTIMA®
レベルコントロール:トゥイーター±2dB
外形寸法 (高さx幅x奥行):39 x 23 x 35 cm
重量:14.5 kg(1本)
価格:570,000円(税別・ペア)
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