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ARGENTUM520 試聴記その3

公開日: : ARGENTUM, 試聴記, CLASSIC, QUADRAL

ARGENTUM520は入庫数が少ないため、
NWJ-STOREを中心にした販売です。

2022年3月3日の今、ウクライナが大変なことになっています。
これから、どういう決着の仕方をするのか、
予断を許さない状況のため、何とも言いようがありません。
ウクライナは小生の大好きな作曲家、
ヴァレンティン・シルヴェストロフの生まれた国でもあります。
シルヴェストロフの若い頃は前衛的な作風でしたが、
歳を経ると作風が変わり、
ノスタルジックで心象風景が音楽に溶け込んでいるようで、
最近は録音も増えました。
大昔、ストラスブール・パーカッション・アンサンブルの、
現代音楽を集めたLPの中に、シルヴェストロフの作品も含まれていました。
シルヴェストロフの前衛的な作風の作品でした。
特に、妻を亡くしてからのシルヴェストロフの作品は、
一聴すると忘れられない情感が支配しています。
今回は、ARGENTUM520でシルヴェストロフの作品を聞いてみました。

 

まず、ヴラディーミル・フェルツマンのピアノで、
“A TRIBUTE TO SILVESTROV”と題された、
さまざまな作曲家の楽曲から構成されたオムニバスアルバムです。
NIMBUSというレーベルはかなり前に通常のCDプレスをやめてしまい、
小生の入手したメディアはCD-Rでした。
フェルツマンは現在の状況では皮肉なことにロシアのモスクワ出身です。
ただ、今はアメリカの市民権を得てアメリカ在住で、
主に西側諸国で活動しているようです。
シルヴェストロフの楽曲を挟みながら、
C.P.E。バッハや、シューベルト、ショパン、シューマンのピアノ曲が、
何の違和感もなく共存しています。
CD-Rとはいえ、録音、メディアに収録された音とも優秀で、
最初のC.P.E.バッハの楽曲が流れてきた瞬間から、
聞き手はフェルツマンの魔法にかけられてしまいます。
知性と情感がうまくブレンドされているというのでしょうか、
情緒に流れ過ぎず、
それでいて各楽曲の持つ自然な情感が流れてきます。
ARGENTUM520よりも、
より繊細な高域が聞けるSIGNUM20で聞きたいCD-Rですが、
ARGENTUM520は非常に健闘していて、
ピアノのボディを見失わず、
しっかりとした音でフェルツマンのピアノの音を聞かせてくれます。
このCD-Rは地味ですが、小生の宝物の一つです。

次は、シルヴェストロフの作品を集めた、
NAXOSの”Moments of Memory Ⅱ”と題されたアルバム。
イリーナ・スタロドウブのピアノ、
ドミトリー・ヤブロンスキー指揮キエフ・ヴィルトゥージの演奏で、
2016年にキエフで録音されました。
このCDのジャケット、最初は絵画かと思っていたら、
確かアゾフ海の写真なんですね。
シルヴェストロフ入門としてはうってつけのCDで、
初期の前衛的な作風に近い作品もほんの少し含まれていますが、
ほとんどはシルヴェストロフの作品と言われて、
その作品に刻印された納得できる特徴を備えた楽曲集です。
その、どこかで聞いたことがあるようなメロディが浮かび上がっては、
沈黙の中に帰ってゆく作風は、
小生の琴線をくすぐってくれます。
ARGENTUM520は、
ピアノ、ヴァイオリン、チェロの音などを、
あいまいさの少ないQUADRALトーンで、
しっかりとシルヴェストロフの音楽を聞かせてくれます。
ウクライナの自然の細かな情景や、
人々の儚い営みがそこここから聞こえてきて、
決して冷たくはならない、
誰もが持っているはずの
「記憶の情景」「記憶の憧憬」が感じ取れます。

家にはシルヴェストロフの作品のCDがかなりあるので、
また聞き続けてゆきたいと思っています。

【スペック】
型式:2ウェイ
基本デザイン:バスレフ型入力:定格60W/最大90W
周波数特性(Hz):45~35,000Hz
クロスオーバー周波数(Hz):3.000Hz
能率(dB/1W/1m):87dB
インピーダンス(Ω):4Ω
ユニット構成:Tweeter φ25mm シルクドーム型トゥイーター
Woofer φ155mm Titanium-PP
サイズ (高さx 幅 x 奥行):H31.0cm×W16.5cm×D25.0cm
重量:5.06kg(1本)
価格 / ペア:66,000円(60,000円 + 消費税)

こちらからお買い求めいただけます。


ブラック
https://nwj-store.jp/item/quadral-argentum-520-black.html
ホワイト
https://nwj-store.jp/item/quadral-argentum-520-white.html

また、さらに数は少ないですが、
トールボーイのARGENTUM570もあります。
https://nwj-store.jp/item/quadral-argentum-570-black.html

 

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